[計192冊] |
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| 「文学部唯野教授」(2回目) | 筒井康隆 | 岩波書店 |
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唯野教授の周辺で起こるドタバタ劇と、唯野教授の授業が交互に出てくるこの小説、前に読んだとき(7月)は、そのうちのドタバタ劇のほうに注目して読んでましたけど、今回は授業の方を中心に読んでみました。授業内容は、文学批評理論の発展してきた歴史について。小説や詩を、思いつきや主観じゃなく、ちゃんと客観的に評論するために、一体どんな方法が考え出されてきたのか。要するに、それを勉強するつもりで読んだわけです。 UKも今月の書評で言ってましたけど、この授業の元になってるのは、「文学とは何か」という本。つまり、この授業は、「文学とは何か」という本の内容を、唯野教授が分かりやすく噛み砕いて説明してくれるというものなわけです。たしかに分かりやすい。後半の方になってくると、さすがにちょっと難しくなってきます(唯野教授が悪いんじゃなく、理論自体が難しくなっていくから)けど、まあそれもまじめに読んだので、理解できました。 僕は、あんまり同じ本を何回も読み返したりしたことがなかったんですけど、この本はあと何回か読んでも、十分に楽しめそう。いい本ですな。■ | |||
| 「哀愁のストレート」 | 村田兆治 | 青春出版社 |
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僕は、正直、村田兆治のことは、ファミスタの中でしか知りません。こないだ始まった、マスターズリーグ(元プロ野球選手が集まったリーグ。亀山とか、バースとか、江夏とかもいる)に参加してるので、これからは多少知っていくことになると思うんですけど、でもあんまし知らん。どうやら、50歳にしてまだ140キロのボールが投げられるという、すごいおっさんらしい。この本は、そんな人が書いた、コラム集です。9月に紹介した、江川卓の「ピッチャーの心理学」とちょっとテーマは似てて、要するに「いいピッチャーとはどういうものか」ということですが、江川よりだいぶ文章がうまい。丁寧に書いてるなあという感じが伝わってきて、よいです。先発した日の夜、ピッチャーはどうしてるのか、登板しない日は何をしてるのかなど、話題選びもうまい。 ただ、最後の方になってくると、話が野球自体から脱線し始め、「年をとっても体力を保つということは、豊かに生きるということなんだ」というようなことにテーマが移ってしまいます。まあ、もともと、中高年の人を励ますつもりで書いてくれといわれて書き出した本らしいから、それでいいんですけどね。 | |||
| 「オーケストラの楽器たち」 | 石本祐吉 | アグネ技術センター |
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雑誌「金属」という、非常にマイナー極まりないところで細々と行われていた(かどうかは知らんが)、その連載の単行本です。オーケストラの楽器それぞれについてのコラムと、楽器工場の見学。楽器がどういう風にして作られてるのかについて説明するために、工場に行って取材してるわけですけど、そのノリが、「みんなー、今日は、クラリネット工場を見学するんだよー」「うわー、楽しみー」というような、NHK教育の子供番組みたいでわらける。が、いざコラムを読んでみたら、これが意外と濃い文章。バイオリンのハーモニクス奏法(弦を軽く押さえることで、普通に押さえるよりもずっと高い音を出す奏法)とか、子供用の小さい楽器は大人用とどう違うのかとか、興味深い内容が続きます。ある程度基礎知識はいりますけど、興味のある方はどうぞ。 | |||
| 「スローカーブを、もう一球」 | 山際淳司 | 角川文庫 |
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表題作「スローカーブを、もう一球」ほか、「江夏の21球」、「八月のカクテル光線」など、雑誌に掲載された話、全8作が入ったスポーツ・ドキュメント集。これだけよくできてると、小説よりもずっと面白い。ある日突然オリンピックに出ようと思い立ち、それを実行するために20代を全部棒に振った人の話や、甲子園になんか行こうとも思ってなかった野球部が、あれよあれよという間に勝ち進み、甲子園に出ることになってしまった話、巨人のバッティングピッチャーが主人公の話、スカッシュというマイナー球技の選手の話など、スターになんかなれそうもない人たちが主人公(「江夏の21球」だけは違うが)で、将来にそんなに夢があるわけでもなく、でもどうしてかスポーツをやってるというような内容が多く、僕は、心を打たれて仕方ないんですけど、どうしましょう。ところで、半分の話は「野生時代」ていう雑誌に載ったみたいなんですけど、どんな雑誌やねん? | |||
| ★今月の一冊★ |
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今月は全然読んでません。が、「スローカーブを、もう一球」は感動。せっかくなので、ひとつひとつの話のあらすじを書いていこうと思います。 「八月のカクテル光線」…甲子園に来れる高校球児はごく一部だが、その中でも第4試合、ナイターでゲームができるラッキーな人間はごく一部。カクテル光線の中で野球をする魅力が描かれる。 「江夏の21球」…1979年の日本シリーズ第7戦。9回裏、江夏は無死満塁のピンチを背負う。抑えのエースとしてのプライドをかけ、21球目を投げるまでに、マウンド上では一体何があったのか…? 「たった一人のオリンピック」…オリンピックで金メダルを取ろう、そう思ってしまったがために、20代を全て棒に振って、彼は競技人口の少ない、ボートのシングルスカルを始めた。 「背番号94」…ドラフト外で巨人に入団したピッチャーが、競争から離脱し、バッティングピッチャーとして生活していくようになるまでを描いた話。それってやっぱり負けなの? 「ザ・シティー・ボクサー」…ヘアースタイル(リーゼント)を崩すのを何よりも嫌がり、登場するときのBGMにも気を使う。それでも実力はあるボクサー。この人、今はどうしてるんやろ? 「ジムナジウムのスーパーマン」…スカッシュという競技の、10年間無敗の日本チャンピオンの話。ただのサラリーマンが、どうしてそこまで肉体の維持に全てをかけるの…? 「スローカーブを、もう一球」…甲子園に出ようなんて全然考えてなかった、ある高校の野球部が、なぜか勝ち進み、甲子園に行くことになってしまった。そのチームのエースが主人公。彼は、スローカーブを投げるのが好きなのだ。 「ポール・ヴォルダー」…棒高跳びの話。オリンピックにも出られず、記録更新だけを目的に競技をする彼だが、それにむなしさを感じ始めた・・・。 以上8作。しかし、どの話もどこか暗い。いいノンフィクションは、本質的には暗いものなのかもしれないと、ちょっと思いました。 2001年、ベスト3 では、2001年のまとめ&ベスト3の発表をしたいと思いますが、僕はUKと違って得点を出したり、その合計でどうのこうのというようなめんどくさいことはしません。まあ、基準は面白かったか、ためになったか、インパクトがあったかとかなんで、似たようなもんではあります。 分野は、学術書/非学術書のふたつに分けたいと思います。学術書といっても、別にそんな専門的なやつではなく、要するに、学問的内容が混ざってて、一般的に「難しそうやなあ」と思われる可能性があるやつのことです。非学術書は、小説、ノンフィクション、ビジネス書など。ではでは・・・。 ★学術書★ 1位…「日本人のための宗教原論」 小室直樹 徳間書店(9月) いろんな宗教について、まとめて勉強できるわかりやすい本。宗教全般について興味があるけど、どれを読んだら一番いいのかわからんという人は、ぜひ読んでください。 2位…「文学部唯野教授」 筒井康隆 岩波書店(7月) これ、小説ですけど、講義の部分は十分に学術的なので、こっちにも入れられるでしょう。そういう意味でもすごい本。内容については前にも書いたので、省略。 3位…「はじめての構造主義」 橋爪大三郎 講談社現代新書(9月) 構造主義という思想がどういうものなのか、という本。この人は、よっぽど「分かりやすいものを書く」ということを意識してるんでしょう。この本に限らず、どの本も分かりやすいと思います。まあ、テーマはそれなりに難しいので、読む気がないとだめですけど。 ☆非学術書☆ 1位…「選挙参謀」 関口哲平 角川書店(9月) やっぱり今年の1位はこれ。ノンフィクションとフィクションが絶妙に融合してて、これ以上なくおもしろい。選挙活動にまつわるノンフィクションとしても十分に読めます。 2位…「NUMBER ベスト・セレクション1〜3」 文芸春秋(11月) パート1から3まで、内容はほとんどいっしょなので、まとめて2位。こないだ本屋に行ったら、パート4が出てた。買おうかな。 3位…「将棋の子」 大崎善生 講談社(7月) 暗いし、インパクトもそんなにはないけれど、余韻はピカイチ。しみじみした本が読みたい人は、これをどうぞ。 以上、はなはだ簡単ではありますが、発表を終わらせていただきたいと思います。UKに遅れること3ヶ月、ゴールデンウィーク明けからの参戦になったわけですけど、それでも読んだ本65冊。なかなかたくさん読みました。2002年も、おもしろい本に出会うことでしょう。楽しみです。 |