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■銀って何だ?■

 銀は金と共に貴金属として昔から親しまれてきた金属。「銀白色」と言ってプラチナと共に白い金属の代表であり、「いぶし銀のような」と、その落ち着いた色が愛されている最もメジャーな金属のひとつだ。
純銀は別名「サラ」と呼ばれている。融点960.5度で非常に柔らかく、細工にはそのままでは使うことができないので、銅を加えて硬さを調節しているのだ。その硬度も、銅が7%までは急激に硬さを増すんだ。つまり、7%以上加えてもあまり差が出ないということ。(〜7%までが硬さの変化がみられる)この銅の混ぜ方を千分比(千分率)で表すと、5%が銅で95%が銀の場合、950の銀と呼ぶ。当然、「サラ」は1000となりますが、実際にはスリーナイン、つまり999以上であれば一般に「サラ」と呼ばれる。(造幣局の検査では4桁まで要求されます)ジュエリーでは殆ど、950の銀を使います。950の硬さが、ちょうど制作に適している。制作面ばかりではなく、適度な耐久性・色などもバランスがとれた配合なんだ。では、「サラ」でジュエリーを作れば良いのではないか、と思うかもしれないが、サラは柔らかさを必要とする象眼の埋め込みなどに本来は使われているんだ。「サラ」の特徴として、ジュエリーとして制作し、ハンマーなどで叩いて表面を硬質化したとしても純銀の性質上時間が経つと「自然軟化」という変化を起こし元の柔らかさに戻ってしまうため、ジュエリーやアクセサリーには不向き。銀食器・銀スプーン・銀のアクセサリーの金具には950よりも硬い925が使わるのだ。この銀を「スターリングシルバー」と呼ぶ。

貴金属 融点℃ 比重 刻印 成分
純銀
(サラ)
960.5 10.5 SILVER 銀:99.9%以上
950銀 910 10.5 SILVER
950
銀:95.0%
銅:5.0%
925銀
(スターリングシルバー)
893 10.4 STERLING
925
銀:92.5%
銅:7.5%



■硫化は酸化とは違う■
 
 銀は空気中では殆ど「酸化」しないのはご存知かな?色の黒く(または、茶色っぽく)変色してしまった銀を「酸化してしまった!」と言った事のある人は結構多いはず。正しくは「硫化した。」と言いましょう。(これが、正しい言い方なのだ!)銀の唯一の欠点は、空気中の硫化水素と化合して表面に硫化膜を作ってしまう事。この膜の色が茶色、黒色となっているのを硫化というのだ。もともと、銀は「硫化」しやすい性質を持っている。その「硫化」という現象は毒に反応するという事。そういう性質を利用して、昔の各国の王族達の食器は銀製品だったということが多い。銀の硫化反応を見て毒が盛られているかを試してたんだね。「硫化」させないためにはまず、空気に触れさせない事。空気中に硫化水素が微量に含まれているからどうしても反応してしまう。あと、火山活動の活発な所。ここは、硫化水素やその他のガスが発生しているから危険。身近な所では温泉地。硫黄成分でも反応するので注意。もともと、毒に反応する性質なので我々にとって危険な所は反応して知らせてくれる頼もしいヤツなのだ!
現代の、既製品の多く(ほとんど)はロジウム・メッキというメッキをかけ硫化(変色)を防いでいる。だから、いつまで経ってもピカピカで黒ずんでこない。銀好きの人にとって「硫化」は当たり前の事で、拭き取る手間は掛かるが銀と接する唯一の楽しみな時でもあるのだ。(手間が掛かる所がまた、愛着がわく。)銀といえば「硫化する!」は当たり前なのだが、「硫化色」が汚いとかの理由で、最近の銀既製品はメッキ処理されることが多くなった。ロジウムという金属で、銀の表面をメッキで覆って硫化水素の「硫化」を防ぐのだ。私達が「銀」だと思って見ている金属は実はロジウムのメッキの色だったということが多い。量産品は特に、製造仕上げにメッキをかける事が多い。

←自然硫化させてみた!
左の画像を見比べてみると硫化した方はどっちか判るだろうか?
左:茶色い硫化物質が付着している。
右:磨いたばかり
画像左は、茶色い硫化物質が表面に付着してしまっている様子。自然に空気中で放置しておくとこうなるのだ。ポリマールなどの研磨剤入りの布で軽く擦ってやるとスグ取れるので心配は無用。ただ、短時間で真っ黒にする強制硫化は、銀表面に自然硫化時よりも分厚い硫化膜を形成してしまうので取るのにはチョット苦労する。強制硫化を強制除去する方法としてバーナーであぶってみる方法がある。バーナーであぶってやると、黒い硫化膜が日焼けした皮膚のように剥がれてくるのだ。



■ロウ付けって何?■
 
 ロウ付けとは金属と金属を使い、熱で接合することを言う。ただし、ロウ(金属)の方が接合する金属よりも融点が低いものに限られる。
ロウ付けの手順を説明すると…
@ロウ付けする個所にフラックス(練り状の粉ガラス)を塗り付ける。(これを塗っておかないと炎を銀に当てた時に急激に炎による酸化膜が形成され、これに邪魔されて接合できなくなる)
Aロウをのせ、炎であぶって徐々に高温にしていく。
ロウの流動点に温度が達すると、ロウは毛細管現象で金属同士の隙間を流れ、接合していきます。(この隙間も、0.05〜0.1mm位にしておかないと上手く流れてくれない)

ロウ名称 溶融点
(ロウが溶ける温度)
流動点
(ロウが湯状に流れだす温度)
ロウ付け温度
(ロウ付けに適した温度)
2分ロウ 710 820 820〜920
3分ロウ 720 780 780〜950
5分ロウ 725 755 755〜870
7分ロウ 680 720 720〜830
9分ロウ 675 730 730〜830
早ロウ 625 635 635〜760

ロウは上記のように温度差で種類がある。それぞれ配合が違い、溶ける温度も違う。(だから、複雑なロウ付けも温度差で何ヶ所もロウ付けできる。同じロウで何ヶ所もロウ付けすると、溶ける温度が同じなのでロウ付けした所が外れてしまうことがある。)2分ロウは一番溶けにくく、本体の融点ギリギリまで温度を上げないと溶けてくれない危なっかしいロウ。(作り手をヒヤヒヤさせる) …で、一番早く溶けて(本体を気にせずに)安心してロウ付けできるのがのが「早ロウ」ってなわけ。じゃ、「早ロウ」が一番使えるじゃん!と思っている、あなた!違います!! 実は、2分ロウは一番溶けにくいのだが本体の色と接合面の色(ロウが入り込んだ所の色)との色差がほとんどないロウなのです。ロウ付け面によく筋(色が違う線みたいなの)が入ってるでしょ?あれは、本体とロウ材との純度さで色味が違って出てきちゃうんだ。接合面の美しさを追及するのなら、断然2分ロウだね!溶けにくく扱いにくいが接合面は断然美しい、そんなロウ材なのだ。これを、早ロウでやってみると接合面にはクッキリと純度差の線が…。早く溶けるってことは作業がしやすいけど反面、純度が低いってことなんだ。それぞれの用途にあったロウ材を使用する事が大切だね。RMRではオーバーレイの接合には2分ロウを使ってるよ。


■ハタシ■
 
 なましたり、ロウ付けしたりした地金はステンレスのピンセットを使い水に漬けて冷まします。また、ロウ付けされた作品は、油膜や酸化膜、フラックスを取り、地金肌を一皮剥くために希硫酸液に浸します。これを「酸ハタシ」または「酸洗い」といいます。「ハタス」という言葉は金工の言葉でジュエリーの分野では一般に酸洗い、酸づけといっています。地金屋さん、メッキ屋さんは両方を取って「酸ハタシ」と言っています。
 
(参照:ヒコみづの彫金教室 創元社)