インパク会場

【大キレット】

1984.10.14-17


 槍ケ岳は7月にも登っていたのでそれほど苦労はなかった。でも、季節柄岩やはしごなどがとても冷たくつらかった。
 頂上からの眺めは文句のつけようがなかった。今回は穂高の方も良く望めた。ただただ感激の一語。下りは神経を使うので疲れるが、岩登りの気分が味わえる。

 南岳までは8月に来ていたので道もよくわかっており、不安はなかった。ただ少しのんびりしすぎたようだ。まあ、急ぐばかりが能ではないし、のんびり3,000mの稜線を楽しむのも良いだろう。ガスは全然なく、どこまで行っても大展望が楽しめた。笠ケ岳も美しく、ふもとの紅葉も輝いていた。

 南岳避難小屋<現在は「南岳小屋」>は無人、ゆっくり昼食にする。
 
  カメラはすぐ撮れるように首から下げていたのだが、やはり邪魔になった。サイド・ポケットも南岳直下では、邪魔。ぶつかって向きが自由にかえられず、苦労する。下りきるまではカメラもしまっておいた方がよい。そこから先も小さな登降はあるが、不安はない。しかし、登りにかかってからは、手掛かり足場ともに小さくなるので、荷は軽い方がよいし、サイド・ポケットもないほうがよい。所々荷がおろせるくらいの所があるからそこまではカメラもしまっておいた方が無難だ。鎖に頼って岩をへつった後、狭い岩稜を岐阜側に乗っ越し、小さな割れ目のある、傾いた1枚岩を渡るあたりでは、ザックが長いと頭がつかえることがある。自分の頭より出ない程度にまとめるべきだ。いくつか鎖場をすぎたあと、手掛かり足場のほとんどない垂直な短い岩場を鎖を頼りに強引に引っ張り上げるところがあるが、ここも荷が重いとかなりしんどい。
 右手を見るとペンキ印らしきものがあり、一方左には上に登って行くペンキ印がある。見た感じでは、いったん左を登り、岩をまわりこんで右手に降り、また、登り返すように見え、気がそがれるが、実は左手のペンキルートは岩の裏側を登り続けており、下ることはないので心配はいらない。
 もうあとは登り続けるだけである。
 所々岩の切れた所があり、岐阜側が見えるが、おおむね信州側を登ってゆくことになる。
 北穂小屋は見えるのだがなかなか近づかず、苦しいところだ。しかし、後ろをふりかえると、越えてきた大キレットの細いギザギザした稜線や、そろそろ頭を見せはじめた槍の穂先が夕陽をあびて美しい。
 岩の切れ目からしばらく日没を楽しみ、薄暗くなりはじめた岩をまた登りだす。

 次第に近づく小屋。やっとたどり着く。

 ゆっくり、満足感にひたることにしよう。

大キレット

  ★★★